10. 黄昏の賢者


『彼の名は『賢者』(サヴァン)――
正確にはその呼び名も通称…本名は全く以って不詳…
私が始めて彼と出逢ったのは…ある春の日の黄昏…寂れた郊外の公園だった……』NA:日高のり子

「今晩和(ボンソワール)――
マドモアゼル、そんな浮かない顔をして何事かお悩みかな?
先程から君がその噴水の周りを回った回数は11回…
歩数にして凡(おおよ)そ704歩…距離にして実に337メートル…
愚かな提案があるのだがどうだろう? 私でよければ君の…話相手になりたい」CV:Jimang

まずは誰もいない→其れが零(ゼロ)だ…
其処に私(モワ)が現れた→其れが壱(アン)だ…
そして君(トワ)が現れた→其れが弐(ドゥー)だ…
単純な数式(しき)にこそ←真理が宿る…
そんな容易なことにさえ自らを閉ざして 気づけない時もあるのだ……


「やぁ、御機嫌よう(サリュー)―
マドモアゼル、先日の悩み事に対する解答は出たのかな?
君と別れてから今日で丁度一週間…時間にして168時間
分にして1万80分…秒にして60万4800秒
と…言っている間にも23秒が過ぎてしまった…
今日も君の…話し相手になりたい……」CV:Jimang

朝と夜との地平線(オリゾン)→其れは弐(ドゥー)だ…
時の王(ロワ)が眠る墓所(ばしょ)→其れは参(トロワ)だ…
煌(きら)めく永遠(とわ)の星屑→其れは伍(サンク)だ…
単純な素数(かず)にさえ←真理は宿る…
どんな容易なことにさえ自らを閉ざして 気づけない事もあるのだ……

君の哀しみを因数分解(ばら)してみようか?
幸福(しあわせ)の最大公約数(かず)を求めてみようか?
涙を拭って…さぁ…お立ちなさい…君の途(みち)はまだ続くのだから……

なるほど(アン エッフェ)――
産むべきか←→産まざるべきか…
それが最大の…謂(い)わば問題だ…
歓びの朝も…哀しみの夜も…全ては君の物…
未見ぬ者へ…繋がる歌物語(ものがたり)…詩(うた)を灯す物語(ロマン)…


『風車』が廻り続ける度に 『美しき』幻想が静かに紡がれ
『焔』の揺らめきの外に 『腕』を伸ばす愚かな者達は
『宝石』をより多く掴もうと 『朝と夜』の狭間を彷徨い続ける
『星屑』の砂の煌めきにも 『葡萄酒』は仄甘い陶酔(ゆめ)を魅せ
『賢者』が忌避する檻の中から 『伝言』の真意を彼等に問うだろう
『天使』が別れを告げし時 『地平線』は第五の物語を識る

Roman…

「繰り返される歴史は死と喪失…楽園と奈落を巡り…
少年が去った後…そこにどんなロマンを描くのだろうか?
傷つく事が怖いかね…失う事が怖いかね…信じる事が怖いかね…
だからこそ私はそんな君の…話相手になりたい」CV:Jimang

君が来た朝を後悔するなら…更なる痛みを産むべきではない…
君が行く夜を肯定するなら…その子もまた《人生(せい)》を愛すだろう……

お孃さん(クロエ)――君の哀しみを因数分解(ばら)してみようか?
幸福(しあわせ)の最大公約数(かず)を求めてみようか?
埃(ほこり)を払って…さぁ…お発ちなさい…君の旅はまだ続くのだから……


「さようなら(オ ルヴォワール)――
マドモワゼル、もう心は決まったようだね。ならば…さぁ、胸を張ってお行きなさい。君は君の地平線を目指して。」CV:Jimang

「メルスィ ムスィユー サヴァン(ありがとう、賢者さん)」CV:日高のり子

「探したぞ…Christophe(クリストフ)」CV:若本規夫

「其処にロマンは在るのかしら?」CV:田村ゆかり





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