02. 焔


『幾許(いくばく)かの平和と呼ばれる光 其の影には常に悲惨な争いがあった
葬列に参列する者は 皆一様に口数も少なく雨に濡れながらも
歩み続けるより他にはないのだ』NA:若本規夫

…瞳(め)を閉じて暗闇(やみ)に 吐息を重ねる
そっと触れた温かな光は小さな鼓動
否定接続詞(め)で綴じた書物(かみ)が歴史を操る
そっと振れた灼(あらた)かな光は誰かの『焔』
…気付けば道程(みちのり)は常に苦難と共にあった
耐えられぬ痛みなど 何一つ訪れないものさ…

歓びに咽(むせ)ぶ白い朝 哀しみに嘆く黒い夜
我らが歩んだ此の日々を 生まれる者に繋ごう…
瞳に映した蒼い空 涙を溶かした碧い海
我等が愛した此の世界(ばしょ)を 愛しい者に遺(のこ)そう……


嗚呼…朝と夜は繰り返す 煌めく砂が零れても…
嗚呼…朝と夜は繰り返す 愛した花が枯れても…
嗚呼…朝と夜は繰り返す 契(ちぎ)った指が離れても…
嗚呼…朝と夜を繰り返し《生命(ひと)》は廻(めぐ)り続ける……
美しい『焔(ひかり)』を見た 死を抱(いだ)く暗闇の地平に
憎しみ廻(めぐ)る世界に幾つかの『愛の詩(うた)』を灯そう…


『何(ど)れ程夜が永くとも 何(いず)れ朝は訪れる―』NA:若本規夫

独りで寂しくないように《双児(ふたご)の人形(ラ プウペ)》を傍らに
小さな棺(ひつぎ)の揺り籠で 目覚めぬ君を送ろう…
歓びに揺れたのは《紫色の花(ヴィオレット)》
哀しみに濡れたのは《水色の花(オルタンシア)》
誰かが綴(つづ)った此の詩(うた)を 生まれぬ君に贈ろう…


『歴史が書を創るのか 書が歴史を創るのか
永遠を生きられない以上 全てを識(し)る由もなく
朝と夜の地平を廻る 『第五の旅路』
離れた者が再び繋がる日は訪れるのだろうか?』NA:若本規夫

『懐かしき調べ 其れは誰の唇か―
嗚呼…《物語(ロマン)》を詩(うた)うのは……』NA:若本規夫

「其処にロマンは在るのかしら…?」CV:田村ゆかり





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