03. Interview with Noël



『Interview with Noël. From HEAVY EDGE.』NA:Ike Nelson

web媒体を中心にニッチでエッジィな情報をお届けする、
『HEAVY EDGE』の渋川鋭士ッス。シクヨロ!
いやぁ、ヴァニスタ、シビれるわ。
雷神の一撃っつうか。シビれサンダーからの、激アツ&激アツじゃん。
最高に滾るロックナンバーを届けてくれたわけだけど、
謎の音楽プロデューサーRevo氏との出会いって、どんな感じだったの?

クソ最低な出来事があって... すべてが嫌になり...
気づけば独り... 星を眺めていた...

真冬の月は... 凍てつくよう白く...
闇の中で黒い... 男が俺を... 見つめていた……



『HEAVY EDGE』NA:Ike Nelson

そいつは凄ぇ出会いだなぁ。
Revoっちって、別の世界から来たって説マジ?
世界ってか、地平線って言うんだっけ。本当、不思議な人だよな。
黒い服を着ていて、サングラスを掛けていて、手には指輪をしている、と(笑)。
――ってメンゴメンゴ。俺の悪いくせ。話を本筋に戻そう。
それで、最初にどんな会話を交わしたの?

「君の音楽を聴かせてもらったよ」――男は言う
「否定するには 肥大化し過ぎて 諦観(ていかん)するには まだ若過ぎる」
「その苛立ちを歌にしてみない?」――男は続ける
「君が感じている その寂しさは 僕の寂しさと 同じ色をしている」

「《音楽家の魂(ぼくたち)》は自由さ どんな哀しみも 《物語(ロマン)》に変えて
繋がる地平 誰かの世界へ 寄り添うように 歌を届けよう」


――そして男は一冊の 聞いたこともない著者の
本を無言で差し出した……



『Interview with Noël. From SOUND AROUND.』NA:Ike Nelson

偏見なし、脚色なし、フラットなインタビューを心掛けております、
オールジャンル歌謡系の音楽雑誌、「SOUND AROUND」の山口と申します。
本誌での取材は初めてということで、宜しくお願い致します。
まずは簡単で構いませんので、
ノエルさんと音楽との出会いを教えて頂けませんか?

初めて触れた楽器は...ピアノだったと...微(かす)かながらにも...
覚えているよ...けれどレッスンは...

続かなかった何故ならば...
大人しくピアノの前になんて...
座ってられるような子じゃなかったから...


『SOUND AROUND』NA:Ike Nelson

なるほど。そこで一旦音楽の道を鎖してしまったと。
しかし、そのまま終わったのでは、現在のノエルさんには繋がらないのでは?

物心がついた頃から...自然と音楽がいつも傍にあった...
それは言うならば...習うものじゃなかった...

家(うち)は貧しかったけれど祖母が...
必死に親戚に頼み込んで...
壊れかけたオルガンをもらってきた...


『SOUND AROUND』NA:Ike Nelson

なるほど。それは意外と言っては失礼かもしれませんが、
非常にハートフルなエピソードですね。
お婆様の愛がノエルさんの音楽の道を再び照らしたと。
しかし、そのような幼年期の充ち足りた愛情の原体験と言うべきものは、
ノエルさんの楽曲の印象からは……。
いえ、偏見は禁物。もう少し掘り下げさせて頂いても宜しいですか?


『Interview with Noël. From HEAVY EDGE.』NA:Ike Nelson

――確かに。それは言えてるなぁ。
ヴァニスタの楽曲と言えば、血を吐くような魂のシャウトと、
それを支え更に加速する攻撃的なギターサウンドが肝だと思うんだけど。
ノエっちとギターの出逢いってどうだったの?

《図体だけ育った馬鹿なガキが集う学び舎(ちゅうがく)》に上がった頃には
《独善的な好意(やさしさ)》なんて全然信じなくなったもんだぜ yeah...

困った《便宜上の養育者(ばばあ)》の交換条件
《大人が望む思想と態度(たましい)》売り渡す対価が安いエレキ yeah...

これで クダらない 世界を 壊せる
狼の心に 一本のギターと 本物の《魂の音楽(ロック)》があれば wow...
周り中 敵にして 吼(ほ)えてた
触れるなら牙を剥く 無防備な部分を 舐められたら痛いから……


『HEAVY EDGE』NA:Ike Nelson

ワォ! ガキの頃、同じようなこと俺も考えてたよ。
中二病ってやつの一種だっけ? 上等じゃん。
もっとも、お前ほど強烈な自意識で青春と殴り合ってはなかったけどね(笑)。
……ところで、ノエル。

お前は、いまでもロックで世界を壊せると思っているか?


『Interview with Noël. From ✝V-ROCK HEAVEN✝.』NA:Ike Nelson

ご機嫌よう。お会いできて本当に光栄ですわ。
耽美系月刊音楽誌『✝V-ROCK HEAVEN✝』のmarie*marieで御座います。
私が今一番注目しているバンド、『VANISHING STARLIGHT』。
気になるノエル様のバンド活動の馴初めなど、色々お伺いしても宜しいかしら?


最初に組んだのは 小生意気なメタルバンド
《一人前の演奏技術(テク)》もない癖に イキがってばかりで
気に食わない 奴見つけて 喧嘩三昧

音楽性の違いが 聞いて呆れるぜ
意味のない空回り 繰り返しては孤立する……

――そして俺のバンドには...
誰もいなくなった...
消えゆく《運命(さだめ)》...燃え尽きてしまった...VANISHING STAR...輝きは刹那...


『✝V-ROCK HEAVEN✝』NA:Ike Nelson

まぁ、そんな識られざる物語がお有りでしたのね。
若き日の傷痕。哀しい煌めき。
それ故に、暫くは打ち込みによる、お独りでの活動の方に傾倒されたのかしら?


『Interview with Noël. From SOUND AROUND.』NA:Ike Nelson

――なるほど。それは興味深いですね。
ところで「Noel」さんって、凄く素敵なお名前ですね。
私は超単純な名前なので、正直言って憧れます。
「一」と書いて「ハジメ」、山口と合わせても七画しかないんですよ?(笑)。

いや... そんな良いもんじゃねぇぜ... クールに聞こえるかもしれないけど...
ついた徒名(あだな)は「クリス・マスオ
(笑)」

――嗚呼...
俺のことを笑うクソは... どこまでも追い詰めた...
謝ろうと赦(ゆる)さず... 血を見るまで殴った...

(仮(かり))の予定日? 安易な名前?

考えたクソ野郎は... 俺のオヤジだったらしい...
けど... 生まれる前に死んでいたから... ぶん殴れなかったんだぜ……


『SOUND AROUND』NA:Ike Nelson

……。
これは、軽率な事を申し上げてしまったのかも知れません。
もし、気分を害されたなら、申し訳ありません。何卒ご容赦ください。
お母様は女手ひとつでノエルさんをお育てになられた?
……あの、私の記憶違いでしたら、重ね重ね誠に申し訳ないのですが、
以前お伺いした際には、お婆様とお二人で暮らされていたと……。

――いいよ... 気にしないでくれ...
アンタに悪気が... ないことぐらい... 分かってるさ...
でも... その辺の話は... ちょっとややこしいんだ...
解り易くまとめて... みるよ――


恋に堕ちた若い二人 運命だなんて感動
駆け落ちた危(やば)い二人 外人となんて勘当
坑(あな)掘った出稼仏子(でかせぎフランセ) 金銭(かね)にならないで死亡
身篭(みごも)った大和撫子 洒落にならないぜ貧乏

残された末未亡人(すえみぼうじん) 幼児預けて失踪
託された独居老人(どっきょろうじん) 最後の力(パワー)で疾走
たらい回す遠い縁者 悲劇唄うは客体
外ヅラはまるで聖者 繰返される虐待

――調子コイて茶化したが これで山さん許してくれ
とても素面(しらふ)のテンションじゃ ちょっとコレは言えないぜ!

実は... このペットボトルの中... 水じゃなくてウオッカ
(笑)

ランララランララ ランララランララ ランララランラン ランランラン

『SOUND AROUND』NA:Ike Nelson

ウォッカ!? ウォーターではなく?
またまた、ご冗談を(笑)。
しかし、僭越ながら過去の事に対して今更慰み申し上げません。
貴兄の未来、これからの音楽活動を支援することでこそ、
私は私の好意を示したい。そう感じました。
それにしてもウォッカ。本当はロシアの血も入ってませんか?(一同爆笑)。

『Interview with Noël. From ✝V-ROCK HEAVEN✝.』NA:Ike Nelson

――きっと、そういう部分も含めて音楽に反映されてますのね。
私、増々興味がわいてしまいましたわ。
お紅茶のおかわりはいかが?
それは、特別な方にはお出ししない茶葉ですのよ。
ノエ様の多感な過ぎ去りし季節の物語。もっとゆっくりとお伺いしたいわ。

髪の色が違う... 瞳(ひとみ)の色が違う...
名前の響きが違う... 何もかもが違う...

自由になる金もなく... 愛してくれる親もなく...
身形(みなり)はいつもキタなく... 居場所など何処にもない...

嗚呼... 俺はそんなに《異端(キモイ)》か?
人を《上っ面(がいけん)》だけで《差別(ひょうか)》する奴らは全員クソだ...


弱い奴ほどよく群れる 陰口の雨に打たれ 狼はただ駆け抜ける
邪魔するなら 誰であれ 噛み殺せ!


強い...言葉は...弱い...心...映す...鏡...のように...


『✝V-ROCK HEAVEN✝』NA:Ike Nelson

……ノエ様、言葉は凶器よ。
扱い方を誤れば相手はもとより、己をも殺めてしまうもの。
抜き身の刃は美しいけれど、とても危ういわ。
私で宜しければ、アナタの鞘になって差し上げられたら……って、
何を言っているのかしら私……嘘、嘘。冗談ですわっ///

『Interview with Noël. From HEAVY EDGE.』NA:Ike Nelson

――でゴグってみたんだけど、まったく出て来ないぜ?
その愛用のESPってメーカー、マジ? 本当に地球上に存在してんの?(笑)
……そうだ、楽器と言えば。
ノエっちって昔から色んな西洋楽器触ってたみたいだけど、
もしかして実家って結構やんごとなき感じ?

息をするように...嘘を吐いて...生きてきた...
本当のことなんて...言えなかった...惨めすぎて...
オルガンは...粗大ゴミを...人目盗み...拾ってきた...
ギター...は年齢(とし)偽り...悪い《×××(バイト)》で《×××××(バイアウト)》...

――鋭士(えいじ)
軽蔑するかい? 惨めだろ?
そんな世界を 壊したいと願った――

塗装が剥げてても...塗装が剥げてても 弦が錆びてても...弦が錆びてても
クソみたいな俺の世界を...
壊せるのは... コイツだけだと... 思った!


『HEAVY EDGE』NA:Ike Nelson

……そうか。また話したくなったら言ってくれればいいし、
話したくなかったら言わなくていい。
だが、ノエル、俺から一言だけ言わせてくれ。
例えお前の話がすべて嘘だったとしても、お前の努力と音楽は本物だ。
俺はいつだって、何度だって、騙されてやるよッ!

『Interview with Noël. From SOUND AROUND.』NA:Ike Nelson

――つまり、何故、宮沢賢治を存じ上げなかったのか、
まったくもって不徳の致すところですが……。
素晴らしい作品との出逢いは、宝石にも勝るものだと思っています。
人が潜在的に内包する闇夜を照らすのは、そういった星々なのかもしれません。
ノエル、それが歪な輝きであったとしても、
貴方の音楽もまた、どうしようもない程に私の心を惹きつけて止まないのです。

山さん...アンタは...本当に...優しい...人だな...心から...そう思うよ...

嗚呼...もしオヤジが... 今でも生きてるのなら...
アンタみたいな... 人だったらな... って... 良いのにな... って... 思うよ...

祖母の遺品の古い箪笥(たんす) → 一番下の引き出し
閉じ込めた昏(くら)い記憶 → 偶然 → 解(ほど)いてしまった

そ れ は

滲(にじ)んで読めないほどに ぼろぼろになった手紙
「ごめんね...母さん...赦(ゆる)してね...こんな子...産まなければ...良かった……」


『SOUND AROUND』NA:Ike Nelson

……。
(私はかける言葉を失い、ただ彼の肩に手を置くことしか出来なかった。
彼が紡ぐ愛の歌に抱いていた、言い知れぬ違和感。
その正体を垣間見たような気がした。
それは、幼い子供が独り闇の中で泣き叫び、
どれほど求めようと、決して与えられなかったものへの憧憬。
いや、むしろ、残酷なほど、復讐に近いものなのかも知れない……。)

『Interview with Noël. From ✝V-ROCK HEAVEN✝.』NA:Ike Nelson

――故に先生は、お辞めになったのね。
ロックミュージシャンとは180度ベクトルが違いますものね。
正直、信じられませんわ。でも、私、子供が好きな方って、何となく判りますもの。
実は、こう見えて、私も子供が大好きなのですのよ?
将来的に子供は何人が宜しいのかしら? 男の子も良いけど、女の子も可愛いわ。
……っと、その前に、お好きな女性のタイプをお聞きしなきゃ!?

尻の軽い女は嫌いだね
だが...
口の軽い女はもっと嫌いだぜ?
(笑)

悪りぃ... マリィマリィ
その手の話は あまり 得意じゃないんだ
それより 音楽の話を しようぜ!

――だってコレ 音楽雑誌の取材だろ?
ぎゅっと抱いて 口づけ交わす相手は?
 《音楽の女神(ミューズ)》だろ?
(笑)

『✝V-ROCK HEAVEN✝』NA:Ike Nelson

あら、女は嫉妬深い生き物ですわよ。たとえ相手が神であったとしてもね。
でも、これは一本取られましたわね。意地悪なノエノエ(笑)。
それなら、最後に今後の活動予定と読者へのメッセージを頂けるかしら?

October 26,27(twenty sixth and twenty and seventh) Sound Horizon 10th year Anniversary Fan Club Event
聞いたことさえないステージ【渋谷公会堂】へ

wow...
"オープニングアクトとして出演しないか?"――と

《何だかんだ悪態つきつつも、尊敬しているプロデューサー(グラサン)》に言われてる……

クダらない世界を壊すのが いつだって俺達の《音楽(ロック)》だろ?
嗚呼... もし地平の向こうで【お前】が 泣いているなら
いつでも《俺の音楽(おれ)》を呼べ!!!


『✝V-ROCK HEAVEN✝, HEAVY EDGE and SOUND AROUND.』NA:Ike Nelson

――まぁ!? 渋谷航海堂? 知らない会場ですわね…。
でも、それは朗報ね。是非、私も拝見したいわ!

――渋谷後悔堂? ワォ、マジか!?
何処? ってか、それって俺でも行けんの?

――渋谷更改堂? 重ね重ね存じ上げず恐縮ですが……
それは、素晴らしい!
熱いライブを期待しています――

――11文字のメッセージ?
「生 き て る な ら 燃 え て や れ」

ですわねっ! だなッ! ですね!






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