03. 食物が連なる世界


下線がある部分は歌詞カードに記載はあるが歌われていない部分。

・・・。 ワタシは『《第二の書庫》』から其の地平線に《意識と呼ばれるモノ》を接続した…
古く劣化した《情報》の為、所々推測しながら補完する事とする。【彼女】は然る事情に依り瀕死と呼ばれる状態に在った。其処に至るには、何らかの幼子の《死》が関係するものと推測される。やがて、訪れた朝の光の中で、女は愛しい者の腕に抱かれ最期の時を迎える・・・・・・。
此の悲劇の結末を左←→右すると予想される《因子》。ワタシは【彼女】のad921d60486366258809553a3db49a4aを【否定】してみた…
さて、箱の中の猫は、生きているのか? 死んでいるのか?  其れでは、檻の中を覗いてみよう――




『Where does the life begin and fade away?
The unknown lady who is staring at "Thanatos".
She is the "Nein".』

思えば... 私は... 幼い頃から...
おおよそ... 人より... 食の細い子でした...

お肉の《食べ応え(ボリューム)》と 匂いが苦手で吐瀉(としゃ)し
よくイジメられた……


「うわっ!なんだよコイツ!おい、吐いたぞ」
「うわっ!」
「うそー!」
「きったねー」
「どうしよー」
「こっち来んなよ!」

そんな私を いつも 助けてくれる《女子(こ)》がいて
月のように優しい微笑みが 素敵な
大切な《一生の宝物(しんゆう)》だと 思ってい
た……

「大丈夫だよ」CV:井上花菜
「うぇっ!出た出た!いい子ぶりっ子ー」
「いい子ぶりっ子ー」
「馬鹿じゃない?」
「いい子ぶりっ子!あははは!」
「気にしなくていいよ」CV:井上花菜
「大丈夫だよー」
「大丈夫だよー」
「いい加減にしなさいよ!」CV:井上花菜
「こっちきたー!あはは!」
「それしか言えないの?」CV:井上花菜
「大丈夫だよー」
「うるせぇぞ!やめろ!」
「素敵…」CV:井上花菜

思えば... 私は... 思春期の頃から...
その割りに... 人より... 発育の良い娘(こ)でした…

「トロいくせに巨乳で《葉もの野菜(くさ)》ばっか食(は)んで
牛かよ」と
よくカラカわれた……


「トロいくせに巨乳で、草ばっか食んで牛かよ!」
「あっはっはっは!」
「可哀想じゃん、やめなよー」
「鳴いてみろよ!モーモー!」

そんな私を 時折 庇ってくれる《男子(ひと)》がいて
「んだよ、関係ねえだろ」
「あ!お前、牛女のこと好きなのかー?」
「うそー!」
「きめえー!」
「だから優しいんだ!」
「どういうこと?」CV:井上花菜
月のように優しい微笑みが 素敵な
彼女が鬼
のような形相で……
「お前ら、その辺にしとけよ」
「ちょっとー」
「大丈夫、あいつらの言うことはなんにも気にすることはないよ」
「うわー!完璧王子様みたーい!」
「みんなにこの事言ってこようぜ! 」
「私の王子様だったのに…! 」CV:井上花菜
「やめろって…おい!」

「……ってゆうか、ウザいんだけどッ!」 CV:井上花菜

「アンタみたいなダサい《女(こ)》 助ける私は天使みたい♪――って
そんな引き立て役の 筈だったのに……
《醜女(ブス)》が《無駄に色気づいた肉体(からだ)》を使って 《私の想い人(かれ)》を誘惑しないでよ
勘違いして調子コかな・い・で!」


「この《女(ひと)》は何を喚(わめ)いているのだろう?」CV:南里侑香

嗚呼... 何て欺瞞(ぎまん)で 吐き気がする世界だろう
滲(にじ)む夜の影で
星が嗤(わら)う……


『The first food, which she became unable to consume was odourless tender veal.
It he was the only meat she felt delicious.』

それからの... 私は... 人間不信に陥(おちい)り...
心を... 固く鎖(とざ)して... 独りきりの世界で...
誰も寄せ付けずに... 何も受け入れずに... 生きてた――


けど...
《子供に関する福祉団体に長年勤める優しい人であり後に生涯の伴侶ともなる最愛の男性(かれ)》に出逢って
幾(いく)つもの季節を重ね
真実の愛は在るんだと 運命は在るんだと
やっと 思えた!

そ し て

始めて結ばれた朝の光 私は生涯忘れないでしょう
抱きしめて 抱きしめて これからは貴方と二人
いえ《お腹の中の宝物(この子)》と三人で


生きて (生きて) ゆこう (ゆこう) 《幸せ(ひかり)》 (ひかりの) の中を! (中を)



『Unhappiness is the neighbor of happiness.
It surely lives next to all families.』

良(よ)いことばかりじゃないけれど
悪いことばかりでもない!――なんて...
そう思った時もあった...
けれど... 結局人生なんて... ロクなものじゃない……

待ち望んでた... 我が子には...
とても致命的な障碍(しょうがい)が... あった...
白い壁の中... 寝返りひとつ打てず...
鎖のような《冷たい管(チューブ)》に繋がれたまま逝った……

星屑を集めるように 朽ちてゆく世界に
望まぬまま? 産み堕とされ? 《人生(せい)》の悦(よろこ)びなど 知らぬまま?
果たしてあの子 幸せだったの?


ごめんなさい

嗚呼... 何て無力で 救いのない世界なのに
騙(かた)り出した 《末梢神経系植物性機能からの支持(からだのこえ)》
この【第九の現実(ひかり)】を裏切って
《絶望(やみ)》の淵(ふち)さえ 輝かせる

見せ掛けは 何て綺麗で
吐き気がする世界だろう
朽ちる夜の影
に 星が踊(おど)る……


『After then, she became unable to eat seafood, eggs, dairy products, fruits, and even vegetables finally.』

否定する... 食への執着に... 比例する... 生への嫌悪感...
煌(きら)めく... 罪を抱いた星の砂... こぼれる窓辺... 一羽の夜鷹(よだか)...

ah...

その頃の妻は《苦難の物語(じんせい)》を
私は生きた ah...
生きてきたその意味を、
私は生きてた ah...
自分を《構成する哀しみを否定する(だます)》ように、言い聞かせるように、
私は生きた ah...
何度も繰り返した……
ah...ah...

嗚呼... 心身共に
lan lan la...
《衰弱して(よわって)》ゆく
lan lan la...
君を
この現実に
lan lan la...
連れ戻さない事が、
la la la...
優しさの
lan lan la...
皮を被ったそれ以外の
lan lan la...
【何か】だとしても、
la la la la la la la......
唯... 君には最期(さいご)まで笑って居て欲しいと願った……


lan la la la la la la...

《食物が連なる世界》
《霊長類》
《猛禽類》
《鳥類》
《爬虫類》
《両生類》
《昆虫》
《植物》
草を食(は)む 虫は飲まれ その蛙(かわず)を飲む 蛇も食われ
その鳥を食う 鷹(たか)は空を どこまでも高く 自由に飛び去った
遠くで鳴り響いた銃声
屠(ほふ)った彼も いずれは死して土に還る
彼らを繋ぐ
鎖で編んだ
ピラミッドには 勝者など 誰もいないと
気付いたの (たの) 不意に (不意に) 《眩し過ぎる木漏れ陽(ひかり)》 (ひかりの) の中で! (中で)


《誰かの死を糧にするモノ(いのち)》が萌える
《鮮やかな新緑(こだち)》の中で
《あの子が生きた証(わだち)》が廻(めぐ)る《音(こえ)》を聴いた
ここに... いたの!? 笑って... いたの!!!


「私は生きているし、生かされている。今日からは沢山食べよう。この命を無駄にしないわ。
生と死が輪になってめぐるのなら、何度だってあなたを産めば良いのだから」 CV:南里侑香
「やぁ」
「あなた…」 CV:南里侑香
「今日は、顔色が良いみたいだね」
「あら、そう?うふふ…」 CV:南里侑香
「あはは…」







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