02. 火刑の魔女

『Völlerei(フェラガイ)【暴食】』NA:Sascha

「罪を祀(まつ)る歪(いびつ)な祭壇。
神に捧げられた屍。
君は何故、この境界を越えてしまったのか。
さぁ、唄ってごらん…」CV:REVO


幽(かす)かな記憶の 糸を手繰(たぐ)るように
仄昏(ほのぐら)い森へ 足を踏み入れた

幼い記憶の 途(みち)を辿るように
入り組んだ森の 奥へと進んだ

小川を渡り お化け樅(もみ)の木を左へと
そこに佇む 私の生家(せいか)


『物心ついた時には、既に父の消息は不明で、
私と母は何時も二人、とても貧しい暮らしだった。
井戸に毒を入れた等(など)と、謂(い)われなき罪で虐げられる事も多く、
私にとって友達と言えるのは、森の動物達だけだった……。』NA:彩乃かなみ
「出てけー!出てけ!」
「出てけよ!」
「気持ち悪いんだよ!」
「わっ…。」
「ついてこないでよー!」
「魔女ー魔女ー!」


それでも 嗚呼 ねぇ お母さん[mutti(ムッティ)] 私は幸せだったよ
その理由を ねぇ 知ってた? 貴女(あなた)が一緒だったから

それなのに 何故 母は 私を捨てたのか?
どうしても それが 知りたくて……

小さな私を拾ってくれたのは 大きな街にある修道院だった
けれど 激しく吹き荒れた改革の嵐と
「堕落した聖職者共を一掃するのだ!」
新教徒達の手によって 嗚呼 無惨にも破壊された
「町境の聖堂台を打ち壊し、真の信仰を我らの手で!!」
「きゃー!」 「やめて!お願い!やめて!」


人生は数奇のもの 運命は判らないから
ひとつの終わりは 新しい始まりと信じて 勇気を持って
積年の疑問を 解く為に 故郷を探す 旅を始めた

小川を渡り お化け樅(もみ)の木を左へと
そこに佇む 私の生家(せいか)


『私の来訪を待っていたのは、石のように歳を取った老婆で、
まるで見知らぬその女性が、母であるとは俄には信じ難く、
娘(わたし)であると気付く事もなく、唯、食料を貪る母の瞳は、
既に正気を失っているように思えた。』NA:彩乃かなみ

「ただいま。お母さん。えっ?お母さん?」CV:彩乃かなみ
「おお。イェスズ様の遣いの方だね。よくきてくださった。」CV:MIKI
「固いパン(ブロート)ですが、お口に合いましたか」CV:彩乃かなみ
「いくらでも食べられるよ!」CV:MIKI
「ご夫人(フラウ)、私は誰だかわからないのですか!?」CV:彩乃かなみ
「何を訳のわからぬこといってるんだい!お前も私を差別するのかい?!」CV:MIKI
「寄越せ!もっと食い物を寄越せ!」CV:MIKI
「ッやめて!あっ…!」CV:彩乃かなみ

『そして……。』NA:彩乃かなみ

「いやあぁぁぁぁー!!」CV:彩乃かなみ



改宗したけれど時は既に遅く、
一人の食い扶持(ぶち)さえもう侭(まま)ならなかった。
懺悔を嗤(わら)う逆十字。
祈りは届かない。
赦(ゆる)しも得られぬまま、罪だけが増えてゆく……。


「なるほど、それで君は祀(まつ)られてしまった訳だね?不本意ながら。
少々時間は掛かるが、子供のうらみは子供が晴らすものさ。
宜しいかな?
さぁ、復讐劇を始めようか…」CV:REVO


森に置き去りにされた 可哀想な兄妹(子供達)
捨てられた子の 悲しい気持ちは 痛いほど解るわ

ああ 鳥達を操り パン屑の道標(みちしるべ)を消し
真雪のように 真っ白な鳥に 歌わせて誘った
ヘンゼル「パン屑が…食べられている…」CV:桐山和己
グレーテル「あっ!ねぇ、お兄ちゃん、面白い鳥がいるわ!」CV:小林さゆみ
ヘンゼル「本当だ。追いかけてみよう!」CV:桐山和己

「見て、【Hänsel(ヘンゼル)】お兄ちゃん。ほら、あそこに家があるわ!」
「でも、【Gretel(グレーテル)】それは、怖い魔女の家かも知れない……けど」
「けど?」
「腹ぺこで……」「[死ぬよりましさ!/死ぬよりましね!]」

「「誰かいませんか?」」CV:桐山和己&小林さゆみ

「おやまぁ、可愛いお客様だこと。腹が減ってるのかい?さぁ、中へお入り」CV:MIKI

「屋根は焼き菓子[Lebkuchen(レープクーヘン)]。窓は白砂糖。
お菓子の美味しい家を、栫(こさ)えてあげようかねぇ!」

嗚呼 遠慮はいらないよ
子供に腹一杯食べさせるのが 私のささやかな夢だった
嗚呼 金貸しだった夫は 生きては帰らなかったけど
幾許(いくばく)かの遺産を託(ことづ)けてくれていた……

老婆の好意に 無償の行為に 甘えた兄妹(二人)は 食べ続けた
少女はある日 丸々太った 少年を見て 怖くなった
ヘンゼル「もぐもぐ。うまい うまい グレーテルも食べなよ!」CV:桐山和己
グレーテル「うんっ!おいしいね!お兄ちゃん!」CV:小林さゆみ
ヘンゼル「もぐもぐ うまい うまい」CV:桐山和己
グレーテル「お兄ちゃん!?」CV:小林さゆみ
ヘンゼル「グレーテル、いらないんだったらお前の分もおくれよ」CV:桐山和己


「嗚呼、老婆は魔女で、二人を食べちゃう心算なんだわ!」

殺られる前に 殺らなきゃ ヤ・バ・イ!
背中を ドン! と 蹴飛ばせ!

「ギャァァーー!!!」CV:MIKI
グレーテル「私達を食べようなんて、そうはいかないんだからね」CV:小林さゆみ
ヘンゼル「やった、すごいぞグレーテル!これで魔女もおしまいさ」CV:桐山和己
グレーテル「隣のトーマスにも、自慢してやらなきゃね」CV:小林さゆみ
ヘンゼル「ああ、悪い魔女は火あぶりさ。これでお宝は」CV:桐山和己
「「(私/僕)達のもの」」CV:桐山和己&小林さゆみ

ヘンゼル「おーいトムー」CV:桐山和己
グレーテル「トムー」CV:小林さゆみ
トム「よおハンス!ってお前何でそんな太ってんだ?」CV:沢城みゆき
「「じゃじゃーん」」CV:桐山和己&小林さゆみ
トム「うっひょー!こいつはついてるぜ!」沢城みゆき
「ははは!」



「森に住む孤独な老婆は、全て魔女なんだそうだよ」CV:REVO
「モウ、子供ナンテ図々シクテ嘘吐キデ、私ハ大嫌イ。アハハハハ!」CV:藤田咲






TOP
宵闇の唄 火刑の魔女 黒き女将の宿 硝子の棺で眠る姫君 生と死を別つ境界の古井戸 薔薇の塔で眠る姫君 青き伯爵の城 磔刑の聖女 暁光の唄



inserted by FC2 system