05. エルの肖像
白い結晶の宝石は 風を纏(まと)って踊る
樹氷(じゅひょう)の円舞曲(えんぶきょく) 遠く朽ちた楽園
黒い瞳孔(め)の少年は 風を掃(はら)って通る
樹氷の並木道 深い森の廃屋(はいおく)
少年が見つけた 少女の肖像画
『彼』は病的に白い 『彼女』に恋をしてしまった…
幼い筆跡の署名(サイン) 妙に歪(いびつ)な題名(タイトル)は
【最愛の娘エリスの8つの誕生日に…】
『退廃(デカダンス)へと至る幻想 背徳を紡ぎ続ける恋物語(ロマンス)
痛みを抱く為に生まれてくる 哀しみ
第四の地平線─その楽園の名は『ELYSION(エリュシオン)』』
『──そして…幾度目かの楽園の扉が開かれる……』
やがて少年は彼の《理想(idea"L")》(エル)を求めるだろう…
やがて少年は彼の《鍵穴(keyho"L"e)》(エル)を見つけるだろう…
やがて少年は彼の《楽園(e"L"ysion)》(エル)を求めるだろう…
やがて少年は彼の《少女(gir"L")》(エル)を見つけるだろう…
娘もまた母になり 娘を産むのならば
楽園を失った原罪(つみ)を 永遠に繰り返す……
始まりの扉と 終わりの扉の狭間で
惹かれ合う『E(エル)』と『A(アビス)』──愛憎の肖像
禁断に手を染め 幾度も恋に堕ちてゆく
求め合う『E(エヴァ)』と『A(アダム)』──愛憎の肖像
『やがて少年は♂(オトコ)の為に自らを殺し 少女は♀(オンナ)の為に自らを殺す
時の荒野を彷徨う罪人達は 其処にどんな楽園を築くのだろうか？』
『──幾度となく『E(エリュシオン)』が魅せる幻影 それは失ったはずの『E(エデン)』の面影
嗚呼…その美しき不毛の世界は 幾つの幻想を疾(はし)らせてゆくのだろう── 』
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